2015年6月21日日曜日

デッドエンドと、第三世界。ゴーストの行き場は……。『攻殻機動隊 新劇場版』

 早速公開日の夜に見に行ったのだが、終わったのが零時で、その前にはバイトも入れていたので、書く気力がなく断念。というわけで、翌日と為る今日、レビューを書き始めた。
 攻殻機動隊といえば、士郎正宗原作のSF作品。いわゆるサイバーパンク的な世界観を部隊に、犯罪・テロを未然に防止する攻性の組織、公安9課の活躍を描いている。
 今回の新劇場版は、OVAそしてテレビシリーズと続くARISE、その続編である。より詳細に言うならば、原作や押井攻殻、神山攻殻の9課が結成されるまでの話だ。

 さて、一概に攻殻といえども、作品ごとにカラーがある。原作の少しコミカルなテイストに反し、押井は何とも押井らしい。GITSやイノセンスなど、映像美と、また彼らしい演出。あと眠くなるとか。神山版で言えば、シリアスな展開に現代社会の諸問題を組み込んだ点があげられるだろう。では、ARISE・新劇場版のカラーはなんだろうか。
 私が思うに、ARISEには脚本の冲方丁の感じが出ていたように思われるが、しかし新劇場版では随分押井・神山版に沿わせた感じがあったように思う。まあ、それら作品につながる物語であるのだから、仕方ないといえば仕方ないのだが。
 して、本作のファクターとなる物がなにか、といえば、それはデッドエンドだ。
 デッドエンド、とは、技術的な理由による義体交換の不可能。それによる死のことだ。たぶんそう(実はそこまで確信を持って言えない)。まあ、要するに古いコンピュータが互換性を失い、死に絶えていくのと同じなんじゃ? というふうに私は感じた。
 物語は終始、このデッドエンドの回避と、企業の利益獲得の為の犯罪行為に関わる。少佐達は、それらの犯罪の芽を摘むために動くわけである。

 しかし、このデッドエンドの先にあるものは何なのか。ARISEでも登場した少佐の元上司、クルツ中佐が関わってくる。
 ぶっちゃけて言えば彼女がすべての犯人なのだが。彼女の狙いは、企業が思うような技術レベルの維持によるデッドエンド回避などではない。彼女の目的は第三世界。すなわち、義体から抜け出て、意識をネットの海へ向かわせることだ。2ndGIGでも似たようなものは在った。それでゴーストは保たれるのか、という問いはあるが。
 少佐はそれらを止め、最終的にクルツを信奉し、第三世界へ向かおうとしていた子供たちに「お前たちには電脳がある。ゴーストがある」といって、出て行く。

 さて、そこで少佐は前髪を伸ばすのだが。この前で、GITS冒頭のシーンに繋がるのである。そしてまた、SACの桜の24時間監視シーンにも。
 そのところは是非見て頂きたいところだが。さて、私は本作が、随分となんか、周りくどい言い回しをする作品に思えた。いや、攻殻自体そういう作品なのだが。アクションシーンは面白く、話の内容も良かった。個人的には笑い男事件には敵わないが。

 まあ、ともあれ私が一言物申したいのは、真綾少佐は前髪垂れてるの似合わねえなあ……。

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