2015年6月24日水曜日

最高に頭の悪い映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード(”Mad Max: Fury Road”)』

 公開日が攻殻と被ってたんで、どちらを見に行こうかと悩んでいた本作。いや、こっちをとっとと見るんだったと後悔してる。
 マッドマックスと言えば、メル・ギブソン主演の大人気シリーズ。荒廃した未来を舞台に、石油を奪い合う。まさしく世紀末を描いた作品だ。
 北斗の拳の元ネタ、と言えばしっくりくる人も多いだろう。

 さて、マッドマックスは2が大好きな私。だが、本作はもう、ソレ以上と言ってもいい。なんてったって最高に頭が悪いのだ。これを作ってる連中も、キャラクター達も、最高に頭が悪い!
 言う慣ればこの世界、ガソリン車や武器兵器などはそのまま、人間の知能レヴェルが中世、いやソレ以前に戻ってしまったと言うような世界だ。人々は、新たな資源を得るために奔走するのではなく、今あるソレを奪い合うために暴力の限りを尽くす。通信などはなく、光信号やら軍楽隊(ギターやドラム。ギターに至っては火を噴く)。車両に乗った槍部隊まで。なんかもう、馬がガソリン車に変わっただけ、みたいな世界だ。しかも、なんというV8エンジン信仰! ガソリンを吹きかけて加速するシーンなんて、大笑いした。
 しかし、本作、マックスのポリスインターセプターは出てこない。代わりに出てくるのは、ウォートラック。巨大なトラック。V8エンジンにニトロ。なんというモンスターマシン! ソレを駆るのは女戦士フュリオサ。義手の女性! 更に、フュリオサの故郷のババアども! もうなんだコイツら! 最高に頭が悪い! とにかく暴力、ガソリン、暴力、ガソリンだ! あと母乳だ!
 これを言葉で語るのは難しい。ともかく、頭が悪いのだ。こんな最高に頭の悪い映画、久々に見た。パシフィック・リム、バトルシップなどに続く、最高にアホな最高の映画になるだろう。
 
 まるでジェットコースターのような映画。しかも、ずっと落ち続けるようなこの加速感。そこら中から火が噴き、頬を熱する。もう、最高だ。
 さあ、劇場へ急げ。一緒に頭悪くなろう!

2015年6月21日日曜日

デッドエンドと、第三世界。ゴーストの行き場は……。『攻殻機動隊 新劇場版』

 早速公開日の夜に見に行ったのだが、終わったのが零時で、その前にはバイトも入れていたので、書く気力がなく断念。というわけで、翌日と為る今日、レビューを書き始めた。
 攻殻機動隊といえば、士郎正宗原作のSF作品。いわゆるサイバーパンク的な世界観を部隊に、犯罪・テロを未然に防止する攻性の組織、公安9課の活躍を描いている。
 今回の新劇場版は、OVAそしてテレビシリーズと続くARISE、その続編である。より詳細に言うならば、原作や押井攻殻、神山攻殻の9課が結成されるまでの話だ。

 さて、一概に攻殻といえども、作品ごとにカラーがある。原作の少しコミカルなテイストに反し、押井は何とも押井らしい。GITSやイノセンスなど、映像美と、また彼らしい演出。あと眠くなるとか。神山版で言えば、シリアスな展開に現代社会の諸問題を組み込んだ点があげられるだろう。では、ARISE・新劇場版のカラーはなんだろうか。
 私が思うに、ARISEには脚本の冲方丁の感じが出ていたように思われるが、しかし新劇場版では随分押井・神山版に沿わせた感じがあったように思う。まあ、それら作品につながる物語であるのだから、仕方ないといえば仕方ないのだが。
 して、本作のファクターとなる物がなにか、といえば、それはデッドエンドだ。
 デッドエンド、とは、技術的な理由による義体交換の不可能。それによる死のことだ。たぶんそう(実はそこまで確信を持って言えない)。まあ、要するに古いコンピュータが互換性を失い、死に絶えていくのと同じなんじゃ? というふうに私は感じた。
 物語は終始、このデッドエンドの回避と、企業の利益獲得の為の犯罪行為に関わる。少佐達は、それらの犯罪の芽を摘むために動くわけである。

 しかし、このデッドエンドの先にあるものは何なのか。ARISEでも登場した少佐の元上司、クルツ中佐が関わってくる。
 ぶっちゃけて言えば彼女がすべての犯人なのだが。彼女の狙いは、企業が思うような技術レベルの維持によるデッドエンド回避などではない。彼女の目的は第三世界。すなわち、義体から抜け出て、意識をネットの海へ向かわせることだ。2ndGIGでも似たようなものは在った。それでゴーストは保たれるのか、という問いはあるが。
 少佐はそれらを止め、最終的にクルツを信奉し、第三世界へ向かおうとしていた子供たちに「お前たちには電脳がある。ゴーストがある」といって、出て行く。

 さて、そこで少佐は前髪を伸ばすのだが。この前で、GITS冒頭のシーンに繋がるのである。そしてまた、SACの桜の24時間監視シーンにも。
 そのところは是非見て頂きたいところだが。さて、私は本作が、随分となんか、周りくどい言い回しをする作品に思えた。いや、攻殻自体そういう作品なのだが。アクションシーンは面白く、話の内容も良かった。個人的には笑い男事件には敵わないが。

 まあ、ともあれ私が一言物申したいのは、真綾少佐は前髪垂れてるの似合わねえなあ……。

2015年6月16日火曜日

限られた時の中で輝く。『ラブライブ!The School Idol Movie』

 言わずと知れた(いろんな意味で)アイドルアニメ、ラブライブ。その劇場版が公開されたということで、見てきた。今回はそのレビュー。

 さて、ラブライブといえば、廃校の危機を救うために女学生達がアイドルグループを結成する物語。劇場盤では、スクールアイドルの大会「「ラブライブ」に優勝した後の、主人公たちμ'sの活動と、その解散までを描いている。

 で、まあ、物凄くざっくりと言ってしまえばこの映画、アニメとそれ以前の企画(要するにプロモーションビデオ)のイイトコどりをしたものだ。つまるところ、
アニメで受けた展開に、評価の高いプロモーションビデオを入れ、それらに合わせてストーリーらしきものをあてはめた。
という感じだ。

 ストーリーらしきもの、と敢えて刺のある言い方をしたのは、無論それが微妙であったからだ。序盤μ'sはよく分からんうちに撮影があるとか何とかでNYらしき場所に飛ぶ。で、そこで色々あるのだが……正直、『アニメだから』と言って目を瞑っても、何とも承服しがたいシーンが幾つか見受けられた。話の内容が何だか繋がってるんだか繋がってないんだか。あれ、あそこであった話ってどこに行っちゃったの? という感じ。アニメで受けたシーンの焼きましを、無理やりねじ込んだ結果がこれなのだろうか。まあ、終始海未ちゃん可愛かったし、風呂あがり真姫ちゃんエロかったし、寝ぼけたエリーチカ可愛かったからいんだけど。(ソルゲトリオが好きなだけ)
 
 しかし、μ'sがNYから日本に戻ってくると、展開は一変する。その無理矢理な話の作りは一挙に消え(いや、そこまででもないかな。でも、まだ見ていられる)、まあ相変わらず話の内容は穂乃果の無茶と皆の協力でなんとかなる、というものだが。しかし、ここでようやっとまともな話に変わる。
 最後に流れたμ'sメンバーの名前の込められた曲は良かったと思うし、相変わらずライブシーンはよく出来ている。イイトコどりをした結果、確かにファンは嬉しいものになっただろう。堅実な作りだ。だが、批判する気持ちも分からんでもない。特に、後半がμ's解散とスクールアイドル存続の間で揺れるという、比較的まともな話の作りだったため、ただファンサービスに走りすぎた前半NY編の必要性があまり感じられなかった。高山みなみ演じる謎の女性シンガー(これは未来の穂乃果だろうか)が出てくる以外、あまりストーリーラインに関係が無い気がするのだ……。

 ともかく、堅実な作りのファンサービスムービーだった。公式ママライブや、穂乃果パパのラブライブレードとかは正直笑えた。あと、真姫ちゃん巻き戻ってた。
 言うまでもなくラブライバー、またはラブライ部員諸兄は見に行っただろうと思う。見いていないのなら、まあ、好きなキャラが可愛いのを身に行くために劇場に行くといいだろう。