2014年9月21日日曜日

TGS2014パブリックデー二日目レポー ト『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』はこうなる!?

 実家から東京への帰還早々、東京ゲームショウ2014に突撃した機乃。
 友人の誘いで初めて訪れたTGSであったが、やはり目玉は『MGS5』だ。今回私は、TGS2014のパブリックデー二日目、コナミブースのイベントに参戦したので、そちらのレポート。

 で、本題はここからだ。最終日最後のイベント、キャストと新川洋司氏、矢野健二氏を交えてのイベントにて、監督からこんな言葉が(正確には矢野氏に受け答えるかたちであったけれども)漏れた。

MGSⅤのテーマは、VOICEである。


 このことに関しては、矢野氏が勝手にMGS5の内容を予測する、というコーナーがあったのだが、その際に監督が「当てられちゃったかぁ~」という感じで受け応えていた。なのでたぶん合っていると思われる。
 しかし、MGS5のテーマがRACE(人種)であることは、既に公式で発表済み。となると、これは裏テーマということになるのだろうか?
 ちなみに矢野氏が挙げたVOICEの根拠は、以下のようだ。


① "V"で始まり"E"で終わる。
 MGSシリーズのテーマといえば、"GENE","MEME","SCENE","SENSE","PEACE"と全て"E"で終わっている。
 そして、今作はナンバリングタイトルだが、5がローマ数字のⅤとなっている。故に、VとEで始まる単語=VOICEという説。

②クワイエットの存在。
 今回のTGSでも、特にバディシステムの点において特筆されたクワイエットの存在。監督曰く「敵か味方かわからない」らしいが。
 彼女は、なんというか、もう常人離れした身体能力とステルス迷彩を持った女スナイパー。そんなクワイエットは、『言葉を持たない狙撃手』として紹介されている。しかし、彼女は別に声帯が無いとか、そういうわけではないらしいのだ(鼻歌歌ってるし)。
 となると、何らかの理由で声、あるいは言葉を失った。そこでもVOICEが関わって来る。

③スネークの台詞が減少。
 これはハッキリとは分からないが、監督また大塚氏曰く「スネークの台詞が減った」とのこと。その代わりに一言でいろんな意味を含ませなければならなくなってきたという。そこにもVOICEが絡んでいる?

④メタルギアは常に現代社会の問題をテーマにしていた。
 メタルギアシリーズは、確かに小島監督の説教というか、そういった側面が有る。そういうわけで、今回矢野氏が引き合いに出したのは現代社会における声の減少だ。我々は、まさに今このネット社会においてブログやSNSなど、書き言葉に依拠した生活を送っている。動画やラジオなども発展しつつあるが、文字を介したコミュニケーションツールと比べれば、圧倒的に少ないだろう。
 現代我々は、そう言った文字にまみれた生活を送ることで、言葉を発する機会を失いつつある。そういう意味での『言葉を持たない存在』ではなかろうか。
 そういった点においても、MGS5はVOICEがテーマではないだろうか。

⑤RACEにつながる。
 人種を一瞬で分かつ最も簡単な方法は何か。肌の色なども挙げられるが、しかしもっと簡単に、同時に細かく分けられるのは言葉(VOICE)である。人種をテーマにする上で言語は避けて通れぬ道といえる。そう言った点でも、RACEとVOICEはつながる。


 以上が矢野氏が挙げたこと(おそらくそうだと思う)である。無論この全てがあっているかは不明だが、小島監督は否定はしなかった。ただ、これ以上の追求も無かった。もちろんVOICEが本当のテーマであるかどうかは、本編が出て見なければ分からない。しかし、この説はあながち間違ってはないのでは、と考えられる。
 現在、ハヤカワSF用の原稿で言葉をテーマに作品を書いている私にすれば、実にタイムリーな話題だ。現代社会において『言葉』という存在は高度化し、しかし話し言葉というものは希薄になっているのかもしれない。ハーモニーで伊藤計劃が意識の外部化を図ったように、現代我々は多くのコミュニケーションを様々な『機械』という外部装置を媒介としている。それは、まるで身体を機械化していくスネークたちのよう。
 MGSは一貫して戦争を作品の主軸においてきたわけだが、そもそもの戦争の根源とは何であるか。宗教、民族、利益……と、様々な要因が挙げられるが、その最たるものとしてやはり人種が挙げられるだろう。人は、個人あるいは集団がもつ価値観というものに依拠した文化を形作り、そこから言葉というものへ発展していく。それらは各々差異を孕むもので、結果的に宗教や民族対立、あるいは経済的な対立の根源となるのは明白である。そんな戦争の根源たる人種、言葉がMGS5のテーマなのでは。

 では、復讐のために悪へと堕ちたスネークの存在は?
 監督曰く、スネークはもちろん暗黒面に落ちる、といっても進んで悪の道へ堕ちたわけではない。復讐の為、仲間を守るため、己が信ずる正義の為に殺意を持った結果、それが悪意へと変貌した。その根源は何か? 報復、復讐といったもの。その連鎖が現代も続く戦争と成る。そして、その根源こそ人種――さらにその根源がVOICEだ。



 と、急にこんな事を書きだしたのは、VOICEというテーマが現在鋭意執筆中の公募作と重なったからである。
 『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』、一ファンとして発売を楽しみに待つとします。

2014年9月7日日曜日

「AKIRA/アキラ」 第三回『LUCY/ルーシー』

 リュック・ベッソンが送る。スカーレット・ヨハンソン、モーガン・フリーマン、あとよくわかんないマフィアだの警察だの、千原ジュニア似の中国人といったキャストによる、よくわかんない阿呆設定映画。

 と、予告を見た方はわかると思いますが(一応下にご用意)、脳の機能をフルに使えるようになった女性「ルーシー」の活躍を描く作品。

 なのですが、なんというか、能力を得る過程がですねぇ……はい。
 というわけで、ざっくり説明。


 舞台は、拳銃持って病院に押し入っても何も言われないのに、死にかけの末期がん患者を殺したら咎められる国、中国。あとフランスとか。
 主人公のルーシーは、中国語も話せないのに中国に住んでるよくわからない女性。どうやら頭が足りてない。そんな彼女はある日、一週間前に知り合ったばかりの男に運び屋の仕事を頼まれる。いやいや引き受けたら、あれよあれよという間に今度は中国マフィアの運び屋に。どうにも彼らはルーシーの腹部に新種の麻薬を入れたらしい。で、ルーシー他、腹部に薬の袋を入れられた者達は、各々の母国に戻ることになった。……なったんだが、ルーシーだけは何故だか中国人にレイプされかけて、そのせいで腹の中で麻薬が溢れてハイになっちゃった!
 そしたら、なぜなぜどうして? 脳の機能が20%以上使えるように! 一瞬で中国語も理解するし、脳の機能に関する論文を数分で読破。教授(モーガン・フリーマン)に直接電話したり、電波操って謎ハッキングを始める始末。あのルーシーちゃんが、この世の全てを理解できるように!
 そんなルーシーは、最終的に脳の機能を100%使えるようになりました。でも、その体は長く持ちません。よって、大学のコンピュータを元に新しくスパコンを作って、USBメモリに全ての知識をぶち込みましたとさ。やったね! これで人類は、進化へとまた進みました!

いや、次世代コンピュータとはいえ、脳データ全部が外部記憶装置に入るのかよ!?


なんというか、まるで攻○機動隊とかア○ラのようですが、そのへんの説明は一切無いので、よくわかんない。
 私が思うに、こういう阿呆みたいな設定の作品というのは、二つに分けられます。一つは、

阿呆な設定へのツッコミを黙らせるほどの格好良さ、熱い物語、演出などなどを持った『素晴らしく阿呆』な作品。

 で、二つ目が

阿呆な設定をそのまんま見せ続けて、視聴者を(ある意味で)黙らせる作品。

 の両極端だと思ってます。
 前者は、私が思うところでは『男たちの挽歌シリーズ』とか、『パシフィック・リム』とか。設定無茶苦茶だけど、カッコイイからどうでもいいよな! って言える作品。
 『LUCY/ルーシー』は、少なくとも前者にはなれなかった気がします。アクションが派手なわけでもなく、斬新なわけでもなく。ちょいと指振ったら敵がすっ飛んだりなんなりする程度。カーアクションシーンも、TAXIやトランスポーターほどの派手さはありません。
 期待してたのと違う、という意見があるのは、確かに言えてますね。可もなく不可もなく。